意外にもAIチャットボットが社内コミュニケーションを活性化させる理由

社内問い合わせの対応窓口にAIチャットボットを利用する企業が増えています。導入のメリットとしては、大きく2つが挙げられます。ひとつは、社内問い合わせの対応業務が削減されること。つまりコスト削減対策です。そしてもうひとつは、社員の“情報を探す時間”を削減すること。こちらは、ナレッジ共有による業務効率化対策と言えます。 しかし、それ以外にも、利用して初めて気づく意外なメリットが昨今、社内AIチャットボットを導入する企業から聞かれるようになりました。それは社内コミュニケーションの活性化効果です。

社内に人工知能(AI)社員がいるということ

人工知能が人間の知性を凌駕する、いわゆるシンギュラリティに関する話題が取り上げられるようになって、しばらくが経ちます。いずれAIが人間と同じように、人と生活をしたり、会話をしたりする時代もそう遠くはない未来であると言えます。しかしながら、現代においては、まだ実質的にAIは"人間的な扱い"を受けている状況とは言えず、あくまでITシステムのひとつとして捉えられています。ところが例えば、いざAIチャットボットと実際に対話をしてみると、従来の無機質で機械的なITシステムとは異なり、想像以上にスムーズなコミュニケーションと、あたかも人格を持つかのようなふるまいから、一種の人間らしい印象を受けます。まだまだ人間に比べれば、ぎこちない部分はあるものの、それはもう業務を便利にするただのシステムではなく、仕事を手伝ってくれるロボットのような印象を我々に与えます。このように、従来のITシステムの利用体験にはなかったAIのヒューマニティ的臨場感は、企業内の人間社員にとって、とても大きな変化をもたらします。社内AIチャットボットが導入されたということは、「社内問い合わせ窓口に人工知能社員が入社しました」というほどの意味を与えるのです。 6e414361b2ab992b815a9d5d102b9219 s

社内コミュニケーション活性化ツールとしてのチャットボット

それゆえ社内では、そのAI社員(チャットボット)に積極的に話しかけてみる人も出てきますし、消極的な態度をとる人も出てきます。AI社員が期待通りに何か人間らしいふるまいをすると、それが人間社員どうしの共通の話題となり、これまでになかった社内コミュニケーションが生まれることも多々あるのです。人間社員の噂話であれば、批判や愚痴などネガティブなものになりがちで、社内の雰囲気を悪くすることもあります。しかし、AI社員の噂話であれば、ポジティブであろうとネガティブであろうと、さほど問題にはなりません。ポジティブなものは話題になりますし、ネガティブなものは、利用感想のフィードバックと捉えることができ、実際のAIシステム改善に貢献します。 7ef4525591e883b19a0c76fe49f2c0fa s

社内AIチャットボットが定着する企業の特徴として、業務外の情報も会話データとして一緒に盛り込むことを意識している点が挙げられます。チャットボットから生まれる人間同士の社内コミュニケーションの価値に気づき、意図的にそれを引き起こしているのです。例えば、「オフィス近くの美味しいランチ情報を聞いたら答えてくれた」とか「自分の名前を入れてみたら、最近の仕事の成果を誉めてくれた」など、AIだからこそ出来る遊び心のある会話が社内コミュニケーションを活性化させます。

社内コミュニケーションの充実が業績や会社への満足度に影響する?

ここに興味深い調査があります。英会話教室を運営する Gabaが20歳から59歳の男女ビジネスパーソンに「社内コミュニケーションに関する調査」を実施した結果、社内のコミュニケーションは「仕事のやる気に影響」すると回答した人が80.0%、「業績に影響」すると回答した人が75.6%にまで上りました。 gaba01 ※出典:英会話のGaba「社内コミュニケーションに関する調査」~ビジネスパーソン1,000名に社内のコミュニケーション事情を調査~より

また、社内コミュニケーションは、その会社に感じている本人の満足度にも影響を及ぼすようです。社内コミュニケーションが「ある程度取れている」と回答した人のうち、職場に対して満足している人は42.1%、「十分取れている」と回答した人では、実に74%の人たちが職場に満足していると回答しています。 gaba02 ※出典:英会話のGaba「社内コミュニケーションに関する調査」~ビジネスパーソン1,000名に社内のコミュニケーション事情を調査~より

冒頭で述べたとおり、あくまで社内AIチャットボット導入の第一目的は、社内問い合わせ対応削減やナレッジ共有による業務効率化です。しかし、それ以外にも、AIチャットボットは社内コミュニケーション活性化に一役買う側面があるということを念頭に置いておくと、導入準備を進めていく上で結果として社内にプラスαの価値を生みだすことができます。