チャットボットの費用対効果の出し方を徹底解説

チャットボットの導入が、膨大に発生する社員からの問合せ対応の課題解決に有効であることは、多くの企業事例から既にわかっています。

しかしながら、これから導入を検討する企業にとって、自社の場合の具体的な費用対効果は割り出しておきたいものです。現在の社内問い合わせにまつわるコストロスがどれほどであるか明確にしておくことは、数あるチャットボットの中で自社に最適なものを検討していく上で大変役に立ちます。

既に社内AIチャットボットを設置する企業の声をもとに、もっとも基本的な概算方法をご紹介致します。

社内問合せにおけるコストロスは3種類に分類できる

企業の社内問合わせにおけるコストロスは、大きく3種類に分類することができます。1つ目が「問合せ対応コスト」、2つ目に「問合せコスト」、3つ目は「アイドリングコスト」です。 c5f8c5f5f336b84182103fbe7ab25572 s

問合せ対応コスト

問合せ対応コストとは、社内で質問を受ける人にかかる時間を金額換算したものです。

例えば、全社から社内問い合わせを受けるヘルプデスク部門が5名から編成されている企業があるとします。そして5名全員が毎日3時間の社内問合せ対応に時間を使っている場合、1ヶ月を22営業日とすると、5名×3時間×22営業日=330時間の稼働時間ロスが発生していることになります。

1名あたりの時給を3,000円とした場合、330時間×3,000円=990,000円のコストロスが発生している概算となります。

問合せコスト

問合せコストとは、社内で問合せをする人がその問合せをすること自体にかかる時間を金額換算したものです。

例えば電話での問合せの場合、電話をかける時間や担当者を探したり取り次いでもらう時間(※1)、担当者からの説明を受けている時間(※2)など、気づかないうちに意外にも多くの時間を費やしていることがわかります。

メール問い合わせの場合でも、丁寧にメール文を書き何度かやりとりをする時間は細切れではありますが、確実な浪費と考えることができます。

アイドリングコスト

社内問い合わせにまつわるコストロスを概算する上で、最も見落としがちな数字がこの「アイドリングコスト」です。アイドリングコストとは、質問をする人が質問をする前に自分で情報を探しに行く時間や質問をしようか迷ってアイドリング状態となっている時間のことを指します。

例えば、ほとんどの質問をまずは直属の上司にするというコミュニケーションフローをとっている組織の場合、忙しい上司に質問をするかどうか迷ってしまう時間は、新卒社員や若手社員によく見られがちです。

社員数1000名の企業で5名のヘルプデスク要員がいる場合

具体的な計算をしてみましょう。チャットボットを社内問い合わせ対応用に導入する企業の多くは、社員規模が数百名を超えます。今回は社員数1000名とします。そして社内ヘルプデスクの対応人数は先述の5名としましょう。 その場合、以下のような概算となります。

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上図のように、現状の社内問い合わせにまつわるコストロスが算出できれば、あとはチャットボットを導入した場合にかかる費用を換算するだけです。

チャットボットの導入費用(月額や初期導入費など)以外に、留意しておくべき事項として、まず上図の問い合わせ対応コストがどれくらい削減できるか。これは実際のところ、導入してみないとわかりづらい部分ですが、想定でもいいので算出するべきです。どちらかと言えば、どれくらいのコスト削減を目標にするかという希望で概算しておくと、その目標設定がプロジェクト推進に大きく貢献します。

また上図の※1と※2に該当する時間は、チャットボットが問い合わせ相手となるため、ゼロにはなりませんが、大幅に短縮されます。そして※3、※4もまた同様に、短縮あるいはゼロになることが予想されます。

以上により、社内チャットボットの導入を検討する際の費用対効果の概算をまとめることができます。