情シス、人事、総務部門への社内問合せをAIチャットボットが一括対応。株式会社マクロミル

株式会社マクロミルでは、情報システム、人事、総務などへの社内問い合わせ対応に、一次窓口として、AIチャットボット「My-ope office(マイオペオフィス)」を利用しています。「My-ope office」の導入にとても満足していると言うのは、同社の情報システム部門にあたるGlobal IT本部(以下、IT部)の平野佑佳さん。AIチャットボットでどのような課題が解決され、現在、同社ではどのような活用がなされているのか、インタビューにお答え頂きました。 情シス、人事、総務部門への社内問合せをAIチャットボットが一括対応。株式会社マクロミル

株式会社マクロミル 会社概要

Q.貴社の事業内容について教えて下さい。

A.弊社はリサーチとデータ活用を軸に企業のマーケティング課題への支援を行っている会社です。東証一部に上場しており、最も得意とする分野はマーケティングリサーチです。ネットを活用したオンラインアンケートなど、年間30,000件以上のプロジェクトをクライアントからお受けしています。社員数は、国内外のグループ会社連結で約2,500名、弊社単体では約1,000名です。

現在、マーケティングリサーチに留まらず、より上流からマーケティング課題全体の解決を支援する「総合マーケティング支援企業」となることを目指しています。

情シス、人事、総務部門への社内問合せをAIチャットボットが一括対応。株式会社マクロミル

AIチャットボットの導入について

Q. ご利用人数(エンドユーザー数)について教えて下さい。

A.全社的に使っておりますので、社員約1,000名が利用していることになります。導入台数は2台です。1台は、IT部、人事部、総務部で共用しています。もう1台は、まだチャットボットを利用していない部門で、テスト的に使ってみたいというニーズがよくあるため、そういった部門への貸出用ボットとして使っています。

Q. AIチャットボットを社内導入しようと思われたきっかけは?

A. 2019年の年初に利用をスタートしたのですが、当時は社員からのシステムへの問合せ対応を行うIT部内の「ヘルプデスク」スタッフがまだ4名であったため、少ない人数でいかに生産的に回していくかが課題でした。

また、社内FAQサイトの検索性やタイムリーな対応にも課題があったため、エンドユーザーである社員が自分で解決できる仕組みを作りたく、AIチャットボットの導入を進めました。

Q.導入によって改善された点を教えて下さい。

A.弊社ではコロナの感染拡大以降、全社的にリモートワークを実施しております。出社率は1割ほどで、多くの社員がオンラインで仕事をしている状況にあります。ヘルプデスクへの問合せ件数は、コロナ以前に比べると5~10件ほど増え、1日あたり30件ほどです。1件あたりにかける時間を平均10分間だと仮定すると、AIチャットボットの導入により月間100時間を削減できていることになります。

4~5月頃は、入社したての70名の新卒社員からの問合せが増え、1日120件を超える日もありました。チャットボットがうまく回答できなかったり、誤答してしまったりすることはほとんどなく、期待していたとおり、繰り返し来る同じような問合せには、うまく応対してくれています。

社員側で自己解決できることが増えたため、ヘルプデスクとしても、導入以前と比較し生産性が上がり、問合せ対応の工数削減がしっかりできていると言えます。

Q.他に導入による効果や良かった点はありますか?

A. ダッシュボードの対話履歴データから、潜在的な社員の困りごとを把握できるようになりました。弊社は事業の特性から、新しい業務システムやITツールを導入することがよくあります。それらの操作手順について、社員への説明会などは開催するものの、いざ業務利用の際には、どうしても細かな質問が発生します。また、昨今ではリモートワークを積極的に推進してきたため、その点からの質問も多数ありました。

「困った時は、まずチャットボットに」と全社的にアナウンスすることでチャットボット内の対話履歴を確認でき、社員がいま何に困っているかということをタイムリーに認識できます。そして、困りごとの種類や傾向がわかれば、社内ポータルサイトや社内オンラインイベントで新たな情報発信をし、フォローすることで、より働きやすい社内環境を作っていくことができます。

先程申し上げた、新卒社員からの問合せにおいても、チャットボットはとても役に立ちました。新卒用のTeamsグループがあり、そこにチャットボットにアクセスできるリンクを貼っています。わからないことがあれば、まずチャットボットに質問する流れを作ることで、従来よりも工数をかけずに効率的でスムーズな環境を作ることができました。

また、チャットボットの導入当初に、mofmof社のサポートスタッフの方から、QA登録のコツを多数助言していただいたので、メンテナンス負荷が少ない状態で運用できています。それからチャットボットのメンテナンス自体は、現在ほとんどなく、自走してくれている状況と言えます。

メンテナンスが発生するシーンとしては、新しい社内システムのリリースや社内ルールの変更に伴うケースが多いです。その際にも、チャットボットが回答できなかったり、誤答したりすることは非常に少ないため、メンテナンスの頻度は極めて低く、発生したとしても5分程度で終わる簡易なものばかりで、総合的にとても満足しています。

Q.チャットボット運用チームの今後の展望を教えて下さい。

A. このように社内向けにチャットボットという新しいツールを導入したり、社外向けには、様々なサービス運用や、新しい技術を取り入れたり、日々IT分野を担当しているのがIT部です。マクロミル事業推進や業務環境を支えながら、より付加価値の高い、競争力のあるサービス創造と継続的に高いサービスを提供していくことがミッションです。

また、IT部では、チーム全体だけでなくエンジニア個々人でも、ビジネス視点、お客様視点を兼ね備えた柔軟な発想を持って取り組んでいくことが重要だと考えており、技術ブログ「Macromill Tech Blog」を開設し、IT部の社員自ら、課題解決や実践力を向上させるために取り組んでいることを発信しています。今回のチャットボットの導入による効果についても、「Macromill Tech Blog」などを通じて、積極的に発信していきたいですね。

今後も様々なツールを取り入れながら、社内外に向けビジネス成長のためにさらに頼りになる存在を目指していきたいと思っています。