AIチャットボット導入4ヶ月目で89%のコスト削減。細かい問合せ対応が減り社内の情報共有が楽になったと実感。

社内問い合わせ用にAIチャットボット「My-ope office」を利用するD2C R社の導入事例が参考になります。導入前の課題把握、それに対する解決策と具体的なアクション、そして導入後どのような成果が得られたか、今回、同社のチャットボット導入プロジェクトチーム(左:メディア本部 斉藤さん、中央:広報担当 野田さん、右:メディア本部 柳澤さん)にインタビューをしてきました。

D2C R企業概要

株式会社D2C Rは、株式会社D2Cのグループ会社として、2013年2月に設立されました。D2C R社はアプリ・Web配信企業やコンテンツプロバイダをはじめとする広告主のニーズにマッチした、効果的な広告の開発・提供を行うデジタルマーケティング会社です。プロモーション戦略構築から広告運用、効果分析まで包括的に提供し、クライアントの事業成長を支援しています。 iogo 横位置

社内問い合わせにおける同社課題

設立7年目を迎え、創業期から成長期へシフトし始めた同社。事業拡大が進む中、社内では新しい業務規定やルールが日々更新され、それに合わせて社内問い合わせ数も増加傾向にありました。 また、これまで数十人規模であった社員数も、現在は120名を超え、この数年で一気に増員。 新しいメンバーが毎月入社する中、既存社員は新メンバーから都度聞かれるオリエンテーションレベルの質問対応や最低限必要な業務ナレッジの共有に時間をとられるケースが目立っていました。

「広告事業は、取り扱う情報量が非常に多いため、社内での情報共有量も多くなります。最新の媒体資料や新しいアドツールの使い方など、常に情報が更新されるため、必然的に社員同士の質問や再確認が増えてきます。」と同社メディア本部リーダーの斉藤裕貴さんは語ります。

実際に、AIチャットボット「My-ope office」の導入前に、プロジェクトメンバーが試算した質問対応コストは次のとおりでした。

1日あたりに一人の社員が質問対応する時間は平均30分。回答者はのべ50人と考え、社内の総質問対応時間は1日あたり合計25時間、月換算で550時間となり、月140万円のコストがかかっていました。 チャットボットを入れることによって、一部の質問対応を代替し、コストダウンを目指すこととなります。 IMG 2899-Edit

チャットボット導入による解決策

先述の課題を踏まえ、会社規模の拡大に合わせて増えていく社内ルールに全社員が共通認識を持てること、そして更新性の高い情報でも各個人が瞬時に引き出せる環境を作ることが課題解決に繫がるとし、AIチャットボットの導入を検討することとなりました。

初めてのチャットボット導入ということで、複数社を検討した結果、My-ope officeを選んだ理由は、「契約して終わりではなく、その後、社内公開まで専任担当者がつき導入支援を行ってしてくれること、さらに運用開始以降のサポートもあるという安心感が最大の理由でした。また弊社がチャットボットに求める役割から考え、価格の妥当性も決め手となりました。」と斉藤さん。

具体的にAIチャットボットを導入していく中で、取り組んだことは、まず社内に存在する情報のうち、更新性の高いものをピックアップすることでした。媒体資料や案件進捗に関する共有資料などは随時更新されていくため、これらは社内共有フォルダで管理した上で、そのリンクをチャットボットに提示させることとしました。

「従来では、該当フォルダがどこにあるかさえ分からず誰かに聞かざるを得ないケースが多かったのですが、今はすべてチャットボットに質問することで、ほしい情報をすぐ得ることができるようになりました。」

一方、比較的更新頻度の低い社内規定や業務書類などは、チャットボットのQAデータに添付機能等を活用しそのまま投入することで、チャットブラウザ内で問合せが完結する状態にしてあります。

また「分からないことはまずチャットボットに相談する」というフローを定着させるため、社内で既に使われているチャットツール「Chatwork」との連携も行い、インターフェースを社員の馴染みあるものにしたことで、導入がスムーズになりました。 cap-d2crchatwork

さらに、プロジェクトチームは、社員が親しみやすくなるようなチャットボットのネーミングやキャラクター設定、アイコンビジュアルの制作に力を入れたと言います。 ネーミングは「D2C R」とチャットボットからRbot=「るぼっと」とし、デザインでは、手の部分などロボットらしい見た目を残しつつ、親しみやすさを持たせるために、全体的に丸いデザインにしました。また同社らしさを表現するため、頭部は「R」の逆さ文字になっています。 rbot

インナーブランディングを意識しながら、誰もが親近感を持てるよう仕立てていきました。さらに、社員の“ひととなり”がわかる情報や、いわゆる会社の “内輪ネタ”などをQAデータに登録し、チャットボットに話しかけてみたくなる仕掛けを作ることで、実際に利用体験を増やし、社内の利用ムードを作り上げていったのです。 IMG 2816-Edit

成果

チャットボットを社内公開してから4ヶ月目となる現在、チャットボットに寄せられる質問は1日平均40件程。従来までは人間が質問に対応することで、質問者と回答者それぞれに1件あたり5分が発生、さらに質問者が質問をする前にまず検索等をして自分で調べていることも充分に考えられます。その分を考慮すると、さらに質問者に5分が加算されます。 つまり、疑問が1つ沸きあがってから解決するのに1件当たりのべ15分の時間的コストが発生していることになります。これを年間換算すると2640時間。

これが、チャットボットを導入した結果、質問者はチャットボットと会話する時間だけとなるため、年間タイムロスが294時間まで削減できました。 現時点では、まだ全社に浸透したというところまでは来ていませんが、チャットボットによるコスト削減の良い成功事例として参考になるのではないでしょうか。 D2CR seika

同社の現在の運用は、ボット管理者1名が2日に一回程度、会話履歴をチェックし、回答ができなかった質問には都度回答登録をするのみとなり、安定した稼動を実現しています。