「AIチャットボット」で1日200件以上の社内問合せを自動応答!導入企業事例(株式会社エイチーム)

社内向けAIチャットボットの成功事例として、株式会社エイチームのチャットボット導入プロジェクトが参考になります。同社では、社内問合わせに対する課題を解決するため2018年10月頃に『My-ope office』を導入しました。「社内ヘルプデスクとしてチャットボットの利用が全社的に定着し、安定的なコスト削減につながっている」と担当者の馬場三香子さんは語ります。導入成功のポイントをインタビューしました。

株式会社エイチーム 企業概要

株式会社エイチームはインターネットを軸に多様な技術領域・ビジネス領域において事業を展開する総合IT企業です。2000年に有限会社エイチームとして設立後、2012年に東証マザーズへ上場、同年東証一部に市場を移し、着実かつスピーディな成長を遂げてきました。同社では、ビジネス領域を限定することなく、スマートデバイス向けゲームアプリ、ゆりかごから墓場まで人生のイベントや日常生活に寄り添うWebサービスや自転車ECなどを手掛けています。2019年7月時点におけるグループ全体の社員数は1,046名、名古屋本社をはじめ東京や大阪など全国に拠点を有します。これらの企業活動や様々なサービスの運営をITの力で支えています。 ateamlogo

社内問合わせにおける同社の課題

2017年10月頃、同社のチャットボット導入プロジェクトは立ち上がりました。IT企業として目覚ましい拡大を遂げてきた同社にとって、社内で行き交う情報の交通整備は急務だったと言います。

設立間もない十数名から200~300名程度の社員数規模の頃までは、社員同士の距離が近いためメンバー間による都度のコミュニケーションによって、日常的に発生する業務遂行上の疑問は各自の対応で解消できていました。しかし、事業の成長に伴い社員数が大幅に増え、組織の規模が急拡大。グループ全体の社員数は700名を超えていました。同じような問合わせが多数発生し、管理部門が対応に追われていました。さらに、社内制度やルールの新設、システムの増加に伴い、必要な情報の散在が目立ってきました。全ての情報を網羅するマニュアルの整備は不十分で、申請方法や申請書類なども煩雑化していました。

情報の参照先が分からず円滑な業務遂行に支障が発生する懸念があった社員サイド、作成したマニュアルが浸透せず問合わせ対応に忙殺される管理部門。両者の悩みを解決できる方法を模索する中、「知りたいこととその回答を結びつけ案内してくれる仕組み」はないかと考えたことが、チャットボット導入のきっかけとなったようです。 babasanateam01

チャットボット導入プロジェクト当初、チャットボットがない状態で具体的にどれほどのコミュニケーションロスが社内で発生しているかを試算しました。算出の際は、下の図のように“社員が情報を探す時間”と社内問合せを受ける“総務部門・IT部門(管理部門の中の1部門)の対応時間”の2パターンの時間的ロスをコスト換算したそうです。

前者は、社員が疑問に思った事項に対して、それを解決するためのマニュアルを探す時間を仮に「15分」と置いた場合のコストロスを試算し、概算で月間1,050万円ものコストロス費用が発生。後者は、日々の社員から問合わせ対応時間を平均して1時間と仮定した場合、総務部門・IT部門9名の月間の概算コストロス費用は54万円に及ぶ試算となりました。

※メンバー9名‥最も問合せ対応に多くの工数を割いていると感じていた総務部門とIT部門を例に試算。

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AIチャットボットの選定ポイントと導入時の工夫

導入には、複数社のチャットボットを比較しました。『My-ope office』を選んだ理由は、シンプルで直感的にわかること、更にセキュリティが担保できることでした。特に後者に関しては、『My-ope office』はIPアドレス制限が可能で、社内ネットワークからしかアクセスできない安全性が決め手となり、セキュリティ機能の確実さも安心材料となりました。

散在しているマニュアルや情報の所在を一元化するよりも、その情報への橋渡しを最短化することで、まずは社員の不便をなくすことを目的に導入を急ぎました。 ateamzu02

導入決定後、チャットボット導入プロジェクトチームが発足します。労務グループや総務グループなど、管理部門の各グループから代表担当者をアサインし、合計6名のプロジェクトチームを結成。当初、各担当者はチャットボットのQA作りに1日30分ほど充てていたと言います。QA作りには、作成に関するポリシーが予めまとめられました。辞書機能の使い方や全角半角の統一、自社アプリやサービスなど固有名称の入力方法、チャットボットの回答ルールなど、ポリシーを遵守してQA作成するためのルールを整備していきました。プロジェクトチームは週に1度のミーティングを行い、社員からチャットボットへどのような質問がなされているのかを整理し、各質問に対して担当者を割り振り、期日までにそれぞれがQAを登録しておくという運用でボットを育てていきました。半年ほどこの運用を続けることで安定稼動に至りました。

現在は、社員からの質問の種類が急激に増えることはないため、各担当者が管理画面を時々チェックし、必要があればメンテナンスをする程度の運用となっています。ミーティングをすることも少なくなりました。

社内浸透を促進する取り組み

チャットボットのアイコンと名前については、社内で公募することで愛着と親しみを持ってもらいたいと考えていました。社内公募によって命名された『A-bot(アボット)』という名前は、公募の際に一番多く寄せられた名前でした。さらに、エイチーム(Ateam Inc.)の英語表記の頭文字「A」を使ったことにより、社内での浸透も早く、すぐに受け入れられました。

他にも、チャットボットの利用を定着させるため、管理部門のメンバーに社内から問合せが寄せられたときには「まず『A-bot』に聞いてください」と伝えることを徹底しました。また、新入社員が毎月入ってくるため、入社オリエンテーション時にチャットボットの存在を伝え、わからないことはまずチャットボットに聞くように促しました。

チャットボットを利用するインターフェースとしては、ChatWorkが多いため、新入社員においては、ChatWorkをインストールして立ち上げた直後に連絡先リストにチャットボットが現れる仕組みを作りました。ChatWork画面上に、真っ先にチャットボットとの会話スレッドが作られるため、視認性も上がり、その後もスムーズに日常的な利用に移れるということです。 ateam03

チャットボットの導入による成果

馬場さんは、「導入からちょうど1年ほど経ち、分からないことがあればチャットボットに聞くという習慣が根付いてきました」と語ります。

チャットボット導入プロジェクトチームのメンバーからも「チャットボットに新たなQAを入れるなどの定期的な更新・運用を続けるほど、自分たちへのダイレクトな問合せが減り、業務が効率化している」という喜びの声があがっています。

現在、チャットボットへの1日当たりの問合せ数は平均150~200程度、多い日では300の質問が投げかけられています。チャットボット導入前では、これだけの問合せを管理部門の社員が一つひとつ対応していたというから驚きです。業務工数で見積もると、1つの問合せに2分の回答時間を要していたとして、毎日400分の業務時間の削減ができていることになります。これは、管理部門の“社内問合せ対応時間”だけで、“社員自身が情報を探す時間”を合わせると相当量のコスト削減に成功したと考えることができます。 37-IMG 0216-Edit

チャットボットのおかげで散在しているマニュアルにもアクセスできる状況になり、 本来進めたかった「マニュアルなど情報の所在を一元化し整理・保管・更新ができる状態にする」プロジェクトへと、ステージを進めることができました。そのプロジェクトの推進により、チャットボットとの相乗効果で社内情報の交通整備が更に進むと期待されています。